1章  始まりの悪夢

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そんなことをぼんやりと思い出しながら、隣に並んでいるリュナが泣いているのを見て、必死に涙をこらえた。 リュナはメリアの一番の友達で、村一番の泣き虫だった。そんなリュナをいつでも励ましていたのはメリアだ。 「リュナ、大丈夫。落ち着いて、ね?」 小さな声で耳打ちした。ここでメリアが泣いてしまったら、リュナは余計に不安になってしまうだろうと我慢した。それでも順番が近づくにつれて身体の震えは止められないし涙が滲む。 心の中で『今までの幸せがどうか、壊れませんように』とそっと祈りながら。 そして、とうとうメリアの前に司教が立った。 司教はメリアをじっと見つめた。そしてメリアに顔を近づけると一言、「お前だ」と小さくつぶやいた。メリアは慌てて司教を見上げた。 一瞬。 ほんとの一瞬だけ司教はメリアだけにわかるように邪悪な笑みを浮かべた。 「今すぐこの子供を縛り上げろ!この子供は人の形をした悪魔だ!」 メリアは必死に司教にしがみついて叫んだ。 「ち、違う!私は魔女じゃない、ただの人間よ!」
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