4本目:さよなら三角、また来て四角

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 合戦(かっせん)直前の武士のように気合を入れると、島崎はプレゼントを買いに出陣した。生駒はその背中を心配そうに見ている。 「……アンタも分かってると思うけど、その糸の状態で本人が動くとろくな事が起こらないわよ。現にこうして修羅場フラグが立ってるし。休みの日にクラスの女の子と出掛けるなんてなに考えてんの。誰かに見られたら誤解されるに決まってんじゃないの」 「う……確かにこれは修羅場フラグ……。クリスマスまでに一波乱ありそうな予感ですね」 「あの2人のことをくっつけたいなら早く糸を解いて真っ直ぐにすることね」 「……わ、わかってますよ。だから今こうして急いで、」 「あ、お昼はカルボナーラがいい。太麺のやつ。お腹すいたから早く作ってよね」  今の状況わかってんだろワガママ女!! と叫び出したい気持ちをなんとか堪えて立ち上がる。ここで下手に反抗するよりも、さっさと作って結神にご飯を与えた方が早く作業に戻れることを生駒はすでに知っているのだ。  クリスマスイブまであと4日。  あの絡まった赤い糸で、何か問題が起きなければいいけど……。生駒は祈るように思いながら、鍋の水を火にかけた。
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