4本目:さよなら三角、また来て四角

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 20××年 12月22日 16:23  年齢:17歳  性別:女  職業:高校生  金額:5円  願い:一昨日、女の子とデートしてるアイツの姿を見ました。めちゃくちゃ仲良さそうに歩いてて、見ててなんかムカついた。やっぱりこないだの告白は冗談だったんだなって実感しました。真に受けなくてよかった。なんていうか、これでようやく諦められる気がする。だから神様。あたしがアイツにこれ以上振り回されないよう、ちゃんと見守ってて下さいね。  結神帳を読んだ生駒はがっくりと項垂れた。 「ああ……見事な修羅場フラグ」 「ほらね。絡まった糸はろくなことが起こらない」  事は、結神たちの予想していた通りに動いた。希のクリスマスプレゼントを買うために女の子と出掛けた島崎だが、その姿を見た希は島崎がその子と付き合ってると思い込み、あの告白はやはりただの冗談で、自分はからかわれただけだったのだと自己完結させてしまったらしい。よくあるすれ違いパターンだ。予想が的中しすぎて面白くもなんともない。 「これくらいの障害仕方ないわ。解いてる途中とはいえ相当絡まってたんだもの。ていうかどうせならもっと激しい修羅場になればよかったのに。頬にビンタぶちかますとか」 「やめて下さいどんな地獄絵図ですかそれ」 「インパクトに欠けるのよね。悲劇のヒロインぶってるとことか気に入らないし」 「……この糸。早く解かないと取り返しのつかないことになる」  生駒はぐっと手を握りしめ、絡まった赤い糸と向き合った。あちこちに飛び出した糸に、傷を付けないよう丁寧に触れる。 「……そこ引っ張っちゃダメ」 「え?」 「よく見なさいよバカ。そっちだとまた絡まっちゃうでしょ。引っ張るならこっち」 「……あ、はい」  結神の指示通りに糸を引っ張ると気持ち良いくらいにしゅるりと糸が解けた。 「おお!」 「ったく。こんな糸ぐらいさっさとほどきなさいよね」  フン、と横を向いた結神の耳は赤い。結神が照れている証拠である。
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