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「はなして!」
「土曜日!! あれはお前のプレゼント選んでただけだっつーの!」
「……は?」
島崎はポケットからラッピングされた四角い箱を取り出した。
「なにこれ」
「クリスマスプレゼントだっつーの! 察しろ!」
「は、はぁ?」
「……いいから開けてみろよ」
言われた通りガサガサと開けてみると、小さなうさぎのマスコットが入っていた。しかも、その手にはピンクゴールドのネックレスが掛けられている。
「……かわいい」
「だから! お前昔から好きだっただろこういうの!! ……あの子ん家の母親がハンドメイドの雑貨屋やってるらしくて。土曜日は案内してもらってた。そのあとお礼にケーキ奢ってただけで。ホントになにもないんだって」
掴んでいた手に力が込められる。
「中学の時は……お前とのこと色々言われたからついそう言っただけだよ。お前に聞かれてたなんて知らなかったし」
「……他の女と付き合ってたじゃん」
「だってお前俺のことなんて見向きもしなかっただろ? だから他の女と付き合ったらどんな反応するかと思って」
「……まさかあたしの気をひくためだったっていうの?」
「……まぁ」
「はぁ!? バカじゃないの!?」
「うっせーな! だってお前振り向く気配なかったし!! 少しくらい意識させてやろうと思ったんだよ!!」
「あたしは最初からあんたしか見てなかったっつーの! 信じらんない! あたしがどんな気持ちであんたと彼女のこと……ムカつく! ホントにムカつく!!」
「お前だって無駄にモテやがって! それに水沢に惚れてただろーが!! お前が持ち主に名乗り出た時俺がどんな思いだったか!」
「し、知らないわよそんなの!!」
2人とも吐き出す息は白い。あーあ。クリスマスイブにこんな所で何やってるんだろう。笑える。
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