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「綾乃、見ろ」
「え?」
「雪だ」
空からは白い雪がチラチラと舞っていた。
「なんか俺達、バカみたいだな」
「……うん」
「お互いずっと好きだったのにな。今までなにやってたんだろうな」
「……あんたがバカなことしなきゃここまで拗れてなかったんじゃないの?」
「うわ、それを言うなよ」
島崎は笑いながら自分の着ていたダウンジャケットをあたしの肩にかけた。
「とりあえずファミレス戻るか。その格好じゃどこも行けないしな」
「誰のせいだと思ってんのよ」
「着替えたらツリー見に行こうぜ。イルミネーション、好きだろ?」
「……うん」
「それと……これからは昔みたく和也って呼べよ。その……付き合うんだからさ」
照れくさそうな横顔がほんのりと赤く染まっている。
「…………考えとく」
「えっ、どっちを!? まさか付き合うこと!? えっ、今さら迷ってんの!?」
「……バカじゃないの」
焦った和也の手をぎゅっと握って、あたし達はファミレスに向かって歩き出した。
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