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「では! 生駒を偲んでー! かんぱーい!」
「偲んでって……まだ俺生きてここにいるんですけど」
「うっさいわねー! 男のくせに細かいこと気にしてんじゃないわよ!」
あっはっは! と豪快に笑って、結神はぐびぐびとビールを飲んだ。生駒はおつまみのピーナッツをポリポリとかじる。
「たまには宅飲みもいいわね! 気使わなくていいわー楽だわー!!」
「どこに行ったって気なんて使ったことないでしょーが」
「ホントにクソ生意気な部下ねアンタは!!」
結神は早くも2つ目の缶に手を伸ばす。
「……結神様」
「なによ」
「俺、先代の結神様が引退する時言われたんです。これからも人々の幸せのためにこの神社をしっかり守ってねって。次の結神様も良い神様だから、生駒もしっかり働いてみんなが幸せになれる手助けをしてくださいねって。俺、約束したんです。結野神社の名に恥じぬよう縁を結んでいきますから、これからのことは心配しないでくださいって」
結神は静かに3本目の缶に口をつけた。
「……それなのに、やって来た神様は想像とまったく違っていました。だって誰が初対面で〝アンタはあたしの雑用係としてここに配属されたんだから、これからあたしに精一杯尽くしなさいよ!!〟なんて言われると思いますか? あの時はとんでもない神が来やがったって相当がっかりしましたよ。この先どうなるか不安でしかなかったし」
「可愛い挨拶じゃないの! それにあれはあたしなりのコミュニケーションよ!!」
「……はぁ。オマケに結神様は仕事もしないし我儘だし嫉妬深いし妬み僻みは酷いし食い意地ばっか張ってるしがさつだし女らしさ皆無で子供みたいにすぐ怒るし酒と金とイケメンとゴシップにしか興味がなくて、口を開けば悪口ばっかの捻くれた超性格ドブスだし、他人の幸せなんて一切考えないし、むしろ不幸になることを願う最低で迷惑でどうしようもない歴代断トツ最下位の神様でしたけど」
「ちょっと!! 最後だからって急にそんな容赦なく悪口言うわけ!? サイテーな男ねアンタって!!」
結神はガン! と机に缶を置いて抗議するが、生駒は構わず続けた。
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