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「ほんと懲りないね。あたしだったら、さっさと諦めて次にいく」
戦歴をさかのぼって思い出してたら、ついそんなふうに口走ってしまった。
だけども爾は気を悪くすることなく、それどころか、
「わかる。すげぇ嗣美っぽい」
なんて返してきたから、あたしのほうがムッとする。
わかってない。爾は全然わかってない。さっさと諦められない。次にもいけない。本当のあたしは、そんな人間なのに。
ずっと我慢してきたけど、限界だと思った。
「反省会、今日で最後にしよう。意味ない気がする」
いつからだろう。爾といる時間が、とても大切なものになったのは。
最初は、知り合いのいないクラスで、話し相手がほしかっただけ。明るくて誰とでも気さくに喋る爾は、ちょうど良かった。
2年になってクラスが違っても毎日欠かさず昼休みや放課後になると遊びにきたのには驚いたけど、コミュ障で友達らしい友達のいないあたしには、ありがたいことだった。
でも最近は、それが逆にきつい。
サユちゃんの話を聞かされるのも、奇跡がおこってふたりが付き合うとになっても、毎度ふられて爾がへこむのを見るのも。
あたしの発言によっぽど度肝を抜かれたのか、爾が嘘みたいな勢いで顔をあげる。
「えっ、困る! 嗣美が頼りなのに!」
至近距離、まんまる見開いた目とまともにかちあって怯み気味になる。
「いや、そもそも、そんなに助言してないし」
「そんなことない! サユちゃんも、高校に入ってから告白のセンス良くなったねって褒めてた!」
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