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 そのまま二人一緒に入口のところで息を潜めて(といっても男性は本当に息をしているのかどうかも分からないほど静かだったが)いると、やがて足音は止まり、鍵を開ける音やドアの閉まる音が聞こえ、ようやく麻智は盛大な息を吐き出す。  と、そこで初めて麻智は勢いで初対面の男性(しかも不審者)を家に上げてしまったことに気付く。焦ってばっと顔を上げると、男性はやはり無表情のまま、じっと麻智を見つめていた。 「もう、ほんとに、帰ってください」 「私はご主人様のお世話をするために存在します。役目を全う出来ないのであれば、私に行く場所などありません」  男性はそう先程と全く同じ言葉を繰り返す。唖然とする麻智は口をぱくぱくと動かすのみ。 「私はご主人様のお世話をするために作られた機械。ご主人様のいるところが、私のいる場所なのです」 「は、機械……?」  機械だと言われても、すぐには理解が出来なかった。どう見ても、見た目は人間そのものなんだから。けれど、機械だと言われれば納得出来る部分もある。表情も声色も何一つ変わらない。呼吸してるのかどうかもよく分からない。同じ言葉を繰り返したり、数時間前と同じまま玄関先に立っていたことも、全て機械だと言われれば変だと思いつつも納得出来てしまうのだ。  それでも怪しいことに変わりはないので、麻智は男性の両肩に手を置き、くるりと身体の向きを変えると玄関を開け、そのまま家から追い出す。
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