今日という日が特別であったなら

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教師歴2年の新米教師だが、若さと熱意に溢れる坂本先生。…きっと女子にも人気だったのだろう。ちなみにあだ名はサカもっちゃんだ。 「そんなこと言わないでよ、今日でサカもっちゃんも見納めなんだし…」 「そう言われると、僕も君らを帰したくなくなるよ」 「えっ…そんな…今夜は帰したくないだなんて…」 サカもっちゃんの帰したくない宣言を極大解釈してなぜかモジモジする加藤。だが、これはこいつの趣味なので気にしなくていい。 「いくら今日で生徒と教師の関係が終わりだからって…物事にはもっと手順っていうものがあって…」 「それにしても、櫻井がこの時間まで残ってるのは意外だな。てっきりさっさと帰ったかと思ったが…」 加藤を無視してサカもっちゃんは僕にそう話しかけてきた。 本来なら、僕もそのつもりだった。 だけど…。 「それとも、櫻井は何かやり残したことがあるのか?」 「やり残したこと…ですか…」 たぶん、あると思う。だけど、それが何か分からない。 「逆に先生はなにかやり残したことはありますか?」 今日で卒業するのはなにも僕達だけじゃない。先生だって一緒だ。 だから、もしかしたらなにかの参考になるかもしれないと思い、何気なく聞いて見たのだ。     
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