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これが彼女と僕の因縁の話。あの時の姫浦との会話はいまでも鮮明に覚えている。多分、彼女が不登校となるきっかけを作ってしまったということに罪悪感を覚えているのだろう。別に自分の言ったことが間違ってたなんて思っていないが…もう少し言い方があったと思ってしまうから。
だから、彼女からしてみれば僕は言ってみれば仇。だけど、僕は彼女のことは嫌いではなかった。少なくとも中学卒業してこれからどうするんだろうと心配してしまうくらいには思っている。…いや、むしろ僕はあの時、彼女のことを…。
まあ、もう過ぎたことだ、忘れよう。また夢に出てもらっても困る。
それよりも今日は入学式だ…早く準備をしないと…。
そのとき、僕はふと今朝の夢を思い出した。
あそこまでとは言わずとも…どうか今日の入学式が、特別なものでありますように…。
そんなことを僕は密かに部屋の隅でおざなりに捨て置かれているギターに願い、今日という入学式に期待し、麗らかな新しい春の日差しに飛び込んで行った。
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