現実はまぁ、こんなもん

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「どうするって…決まってるだろ、女子と組む」 「お前…マジか?」 見知らぬ女子に話しかけ、ましてやバンドグループになるなど、異性経験の浅い僕にとってはエベレスト山を無酸素単独で登頂するほどの偉業であった。 「や、やめとけ、加藤!!その顔じゃ無茶だ!!」 「いいや!俺はやる!やってやる!!」 「その顔で馬鹿言うな。命が惜しくないのか!?」 「櫻井、俺は決めたんだ、高校生になったら変わるんだって…。もう彼女欲しいって言うだけで、なんの行動にも移さない口先だけの日々は終わりにするんだ!!」 「加藤…わかった。その顔でもそこまで言うなら、もう止めやしないさ」 エベレスト山単身無呼吸を覚悟に決めた友の背をこれ以上食い止めるのは無粋だ。 「ありがとう櫻井」 加藤も加藤で友を見送る決意を固めた僕に敬意を評して手を差し出した。もちろん僕は躊躇うことなく、差し出せれた手を握り返した。 「その顔でも食らいついてこい!!加藤!!」 「ああ!!行ってくるぜ!!。……あと、その顔でとか言うな、普通に傷付く」 固い握手を交わした後、加藤は僕に背を向け、その足で大いなる御山の麓を踏みしめた。     
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