現実はまぁ、こんなもん

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そんなこんなでだいぶ時間をロスした僕達は、結局谷口というこれといって個性を感じさせない平凡な男子を成り行きでドラムとしてメンバーに加えることになった。 「谷口です、よろしく」 無難な挨拶だなぁ、とか僕は思った。…まぁ、人のこと言えないんですけどね。 こうして僕達は一応、バンドメンバーを結成した。 ただ…別に谷口が悪いわけではないのだが、夢とは違い、これといって特別ななにかを感じることがない展開に、僕は密やかに不満を募らせてた。 それでも…まあ、こんなもんかと平凡な高校生活のスタートを妥協した。 だけど、それでも一つ、この高校生活に変わった点があるとすれば…姫浦が同じクラスにいたということだ。 そもそも同じ高校に入学していたことも知らなかった僕は姫浦がいたこと自体にも驚いていたが、もう一つ驚かされたのが、姫浦の容姿だ。 三つ編みだった髪を綺麗なストレートにして、コンタクトに変えたのか、メガネも外していた。端的に言えば高校生デビューだ。 別に僕に美的センスがあるわけではないが、はっきりいって可愛くなったと思う。 まぁ、だからといって僕が彼女と関わるわけでもないんだけどね。 ただ…夢に見たのもあってか少し…ほんの少しだけ、彼女がもたらす刺激に期待してしまっている僕がいる。 ただその程度の話だ。
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