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加藤は神に祈りながら下駄箱の戸を開けた…が、中にはラブレターなど入っていなかった。
「はぁ…悲しいなぁ。…こんなことなら自分でラブレター書いて自分で下駄箱に入れとくんだった…」
「それ、もらって嬉しいのか?加藤」
「無いよりはマシだろ」
そんな加藤はさておき、僕も自分の下駄場の戸を開けた。
するとどうだろうか?そこにはハートのシールで封がされたラブレター…なんてものは無く、当たり前のように僕の靴が入っていた。
「まぁ…そりゃあそうだよな」
諦め気味に僕はそうぼやいた。
さすがに悲しいな。
なにか特別な事が無いからとか、思い出に残るような事が無いからと言うよりも、3年間もここで過ごして来たというのに、なんの感情も湧いてこないことが悲しい。
自分でも冷めた人間だと思う。だけど、今日という日になんの感情も抱かないのはそのせいだけだろうか?。
僕はここで何をしたんだろう…何を得たんだろう…。それが無いから何にも思わないのだろうか?。
それじゃあ、まるで僕は何も無い空っぽな人間みたいじゃないか…。
「加藤、もう少し学校の中を見て回らないか?。最後なんだし、ちょっと思い出巡りくらいしようぜ」
何かを得たということを証明するために、僕は加藤にそんな提案をした。
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