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最終話 そして運命は動き始める
「まだ諦められませんか従兄殿」
身長は160前後。翠の瞳に短く刈り込まれたオレンジ色の髪にやや白い肌。
腕は鍛えていることが推測できるぐらいには太く胸板もそれなりに厚い爽やか細マッチョの少年が眼のまえの風貌のよく似た少年に声を掛ける。
彼の名前はサファイア・マッサチン。この国の王子。
そして近衛四聖騎士の一人でエースオブマスクの通り名をもつトトは、実はサファイア・マッサチンより2か月早く生まれた従兄である。
家系図でみると隣国の劉国にある商家に降嫁した現国王の姉が生んだ三男坊だ。
幼いころのサファイアとトトの風貌がよく似ていたため早い時期にマッサチン王家に引き取られ影武者として教育されきた。
「俺だけじゃない。彼女と拳をあわせたキングとクイーンもご執心だ」
「なんでまた」
「3人とも使える部下にアテがないからな」
そう。キングは公爵家とはいえ四男。いずれ長兄が公爵家を相続したら独立して、近衛四聖騎士であることを考慮しても一代限りの準男爵。
クイーンは親は元子爵だが今年長兄がその地位を相続し独立した騎士伯。エースは庶民である。
ジャックが争奪戦にいないのは既に教会という伝手があるからだ。
「それに副官が美人というのは素晴らしいとは思わないか?」
シンが残したネコミミカチューシャをクルクルと回しながらトトは男臭い笑みを浮かべた。
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