シン・デレラ

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シンの勝ち上がりを期待したギャンブラーがシンの次の試合以降の賭け札を王営の賭け屋から買っている。 試合が終われば賭け率は大幅に変わるので客も胴元も伸るか反るかの勝負なのだ。 「さて、あれだけの大言を吐いたんだ。失望させないでよ」 シンは腰に佩いた両手突き剣を抜く。 「いいぜ。俺に勝てたら、剣でも何でもくれてやる」 ラトナは地面に刺していたロングソードを引き抜きそのまま一気にシンの胴を横に薙ぐ。 「うん。いい判断」 ラトナのロングソードを寸前で躱し、シンは一気にラトナの懐に入る。 「両手突き剣なのに懐に入ってくるとか正気かい?」 「まだ手の内は晒したくないのよ」 マスクによって隠れていない唯一表情が見えるシンの口角が上がる。 ガン シンは両手突き剣の柄でラトナの伸びた右手に掴まれているロングソードを弾く。 乾いた音をたてロングソードが床に落ちた。 「はぁぁぁぁぁぁせい」 裂ぱくの気合とともにシンは両手突き剣で落ちたラトナのロングソードの柄を突く。 甲高い音と共にロングソードの柄は破壊された。 「さて、ラトナ殿は剣の相手に無手の闘いは修めてるかね?」 シンはラトナの首元に向かって両手突き剣を構える。 「降参。あれだけのことを言ったのに武器まで壊され戦い続行とかありえないよ」 ラトナは両手を上げて負けたことを宣言する。 「勝者レディキャット」 審判の旗が上がりシンの勝利を告げ、 途端に闘技場が歓声で揺れる。 「いや、強いね。名前、教えてくれる?」 ラトナは苦笑いしながらシンに手を差し伸べる。 「剣でも何でもくれてやるってヤツ?わたしはここに、わたしより強いヤツに会いに来たんだ・・・」 シンは実に男らしい笑みを浮かべる。 「腕を鍛えて出直しなさい。わたしに勝ったヤツには教えておくからさ」
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