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再び思い出したのは、年末の大掃除、だっただろうか。
とにかく寒い冬の日、僕はベッドの下のジャガイモを見つけた。ジャガイモを見つけた、と思えたのはしばらくしてからで、最初は「しわくちゃで白い触手の生えた謎の物体」に、不覚にも怯えた。
水分が飛んでしまったのだろう、大きさは最初の半分ほどになっている。皺で覆われた褐色のそれは柔らかく、老人の肌のようだった。てっぺんから生えた根は対照的に、白くつやつやと尖っている。祖母にじゃれつく孫のようにも見えた。
僕はそれを拾って、ごみ箱を探した。しかしごみを出したばかりでごみ袋をセットしていなかったことと、幼児のように溌剌とした短い根が指を刺激したことで、僕は視線をドアの向こうに据えた。玄関から外に出ると、門の手前、左手にある花壇を見る。あの祖母も花を愛する心だけはあるらしく、毎年春になると色とりどりのパンジーやチューリップが咲いていた。僕はいたずら心が湧いて、祖母の園芸用スコップを調達してくると、球根などお構いなしにざくざくと土を掘り返して、そこにジャガイモを埋めた。
それきり、また僕の記憶からはジャガイモが途絶える。
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