☆ 4月14日・朝

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さて、現実逃避はほどほどにして、そろそろベッドから抜け出さなければいけない。 枕もとのデジタル時計はAM6:43を表示している。秒を表すメモリが1秒に1ずつ増えていき、こうしている間にも朝の貴重な時間が過ぎ去ってしまっていることを私に警告している。手を伸ばし、アラームのスイッチをOFFにすると、腕立て伏せの要領で体を起こしてベッドの上に正座する。ベッドの側面に取り付けられたカーテンを滑らせると、ほのかな明りが小ぢんまりした私の部屋に入ってくる。天気はどんよりとした曇り空だ。窓に顔を近づけて視線を下げると、家の前のコンクリート道路が黒く染められていた。もしかしたら窓ガラス越しには見えないほどの細かい雨が降っているのかもしれない。窓を20cmだけ開けて、そこから左腕を部屋の外へ伸ばし、掌を空に向ける。予想通り掌に重みのないひんやりとした水分がまとわりついてくる。やはり霧雨が空中に舞っていた。 ほのかの太陽光のおかげか、水滴に触れたからか、それとも冷ややかな外の空気に当たったためか、眠気が少し取れた。 目が覚めてから15分が経過した。私はベッドからようやく足を下ろし、背伸びをする。 今日は月曜日。制服に着替えたらリビングにあるテレビで天気予想を確認しよう。
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