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自転車通学の辛いところは、なんといっても雨の日にカッパを着用しなければならないところだ。朝の忙しい時間に着替えるのが面倒くさいし、荷物としてもかさばるため「念のために持っていこう」という判断も心理的に取りづらい。今日みたいな半端な雨の日はまさにそんな葛藤を強いられる日であった。
今朝、家を出る前に外に出て雨と雲の様子を確認した。この程度ならば今日はカッパはいらないだろう。
もちろん天気予報もチェックした。テレビの向こうのお天気お姉さんが、「この地方は、今日は一日中弱い雨が断続的に降り続けるでしょう」と伝えていた。「断続的に○○し続ける」という言い回しが個人的に面白かった。要は「降ったり止んだり」ということだろう。
私は通学時間中ずっと「なぜわざわざ、ひねったような言葉を使って何万もの人に今日の天気を伝えるのだろう」と考えていた。自転車を漕ぎながら15分ほども考えたのならば、一応の結論を用意しなければ何となく後味が悪い。そこで私は「大人というのはあえて難しい言葉を使いたがる生き物なのかもしれない」という仮説を持ってこの問いには蓋をする事にした。女子高校生が訳もなく言葉を縮めたがる習性も、きっとそれと同じ類だ。そうすることで彼ら・彼女らは社会から自身に与えられたそれぞれの役を無意識にロールプレイングしているのだろう。
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