☆ 4月14日・未明

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 初めての場所に入ることはいつだって勇気が必要だ。ましてや、この見るからに風変わりな学校でうまくやっていけるのだろうかが不安だった。私は唾を飲み込み、唇を固く結んだ。それから頭の上に乗せている大きな帽子を右手で確認した。これを被ったのは今日が初めてなのに、今ではそうとは思えないほど自分の頭に深くなじんでいる。それが相変わらず私の頭上にあることを確認すると、私の気持ちは少し落ち着いた。  その帽子は今朝、入学祝いに父から貰ったものだ。真っ黒な色をしていて、つばは広く、てっぺんは威嚇した蛇が鎌首をもたげるように空へと伸びていた。とんがり帽子とでも言うのだろうか、いかにも魔法使いが被っていそうな帽子の形をしている。私はなんとなくその帽子の形状が気に入らなかったが、父に対する配慮もあり、それを被って登校することに決めたのだった。しかし校門をくぐった私はわずか数秒でその事を後悔することになる。  なにその帽子! なんでそんなの被ってるの?  見るもの全員が口々に私を揶揄する。魔法学校に通う生徒は皆それらしい格好をしているものだと思い込んでいたが、私と同い年くらいの彼らの着ているものは普通の現代的な私服であった。私はひとり、某有名娯楽施設で魔法使いのコスプレをしているお上りさんのように浮いてしまっていた。  恥ずかしい。私は逃げるように自分の教室へと向かった。     
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