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 私の名前は青山小春という。小学校の低学年から、自分の名前を漢字で書かなければならない類いの人間だ。  何も知らない人は言うのだ。青の字に春の字、青春を送る今のあなたにぴったりな名前だと。これからもずっと、青春のような美しい日々を送れるだろうと。  馬鹿か。小春は冬の季語だ。  私はその言葉を愛想笑いで受け流し、心の中で罵倒する。そして、その的外れな褒め言葉を口にした者は、個人的に尊敬すべきだと思う人物ランキングの下位に置かれることとなる。 「初めて知った。冬の季語って聞いたら、たしかに、あんたに似合ってるや」  彼はそう言って微笑んだ。  彼とは初めて会ったはずなのに、旧知の友人と話しているように心地が良かった。
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