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それは、あまりにも正論だった。私が彼のことを好きでいる分には誰も文句を言えないだろう。彼女はそれについては否定しなかった。でも問題なのは、そこから先に進もうとすることだ。もっと深い関係を望んでいることだ。それは決して、許されない。
今まで気づいていないふりをしていたことを目の前に突き出された気分だった。まだ何もしていないから、と自分に言い訳をして、その奥に隠れる浅ましい欲望を見ないふりしていた。ゆりちゃんは、一度でもそれを表に出してしまうと引き返せなくなるからと思い忠告したのだ。ただ純粋に思うだけならまだいい。でもそれを行為として出してしまうとそれはいけない。だから今のままで、決して叶うことのない恋心を飼い殺せと。そう言っていたのだ。
「すみれちゃん、私もとくちゃんと同じように思う。誰とも付き合ったことないからなんとも言えないけれど……相手の奥さんもだし、すみれちゃんが傷つくところを見たくないのよ」
「みさきまで……! でも、だからって……! じゃあどうしたらいいのよ、私は!」
なぜか泣きそうだった。感情が高ぶって、そのまま涙になってしまいそうだった。親に叱られて癇癪を起こす子供のように、私はただ泣きたくなった。
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