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二人とも正論だ。まっこと正しい。それは私もわかっている。でも、だったら、私のこの感情はどうしたらいいのだ。好きでいていいのなら、なぜこの先に進んではいけないのだ。私の方が彼のことをよく知っている。私が一番彼と長い時間過ごしている。そんな、形だけの契約よりも、私の方がよっぽど彼と精神でつながっている。
でもそれは、結局都合のいい言い訳なのだ。それもわかっている。都合のいい夢を見ていたいだけなのだ。自分に優しい世界で生きていたいだけなのだ。二人は私に、いつまでもそんなところにいるんじゃない。現実をちゃんと見ろと言ってくれた。ただそれだけなのに。
今の私ならそれはよくわかる。でもあの時は、そこまで考えられる余裕はなかった。彼こそが私の生きがいで、その恋だけが私の希望だったのだ。それを根底からダメ出しされた気分だった。ウェイターに運ばれてきたデザートのシャーベットは結局誰も食べないまま、ドロドロに溶けていった。
その日から、私たちはもう会っていない。二人がどこで何をしているか、私は知らない。あれほど長く続いた関係はこうもあっさりと終わってしまったけれど、もう私に何も文句を言う人はいないのだと思うと少し気が楽だった。
「青猫……結局私たちは、寂しい人が集まっただけだったのね」
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