第一章

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 怜司に会えると思い込み、不安と期待が入り混じった高揚感を抱いていたが、アパートの玄関先で出会った男の出現で浮ついた気持ちはすっかり削がれてしまった。長い移動による疲れも急に頭をもたげ始めた。長瀬はのろのろとスーツをクローゼットのハンガーにかけ、下着やシャツなどを取り出しワードローブの引き出しにしまいこんだ。  怜司への手がかりの一つが消えてしてしまったことに落胆はしたが、いつまでも落ち込んでいるわけにもいかない。明日からは支店での仕事が始まるのだ。きちんと英気を養っておく必要がある。長瀬は軽くシャワーを浴びて疲れを洗い流すと、ベッドに潜り込み眠りに着いた。
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