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「ハチミツ、お嫌いでしたか?」
眉をハの字にして叱られた子犬のような顔をする亀井に、慌ててかぶりを振る。
「いや、嫌いってほどでもない」
長瀬は用意された朝食をすべて胃に収めると、亀井に礼を言いアパートをあとにして着替えのために一旦ホテルへと戻った。
始業を知らせるチャイムと共に、打ち合わせ用のテーブルを囲んでプロジェクトメンバーの五人が顔を合わせる。朝礼代わりのミーティングだ。
長瀬が「おはようございます、昨晩はお疲れ様でした」と第一声を発すると、それぞれの顔に少しの笑みが浮かぶ。やはり飲み会で打ち解けたおかげか、昨日の少し張り詰めたような緊張感がとれていた。ただ、亀井だけが手元の手帳をのぞきこむように少し俯きがちに浮かない顔をしている。昨日の失態を悔やんでいるのか、今朝の長瀬とのやりとりにまだ腹を立てているのか。気にならないではないが、長瀬は気を取り直してミーティングを進めた。
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