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今回のプロジェクトで長瀬のグループが任されているのは、デジタルサイネージ専用端末の選定、設定。スケジュール管理、一括配信、端末監視、ログ収集、コンテンツ管理などを含む配信システムの構築。また、広告内容のオーサリングに関するサンプルとマニュアルの作成などが主な内容となっていた。
それらの技術を十日間のうちに全て詰め込もうというのだから、日程的にかなりタイトで慌しいものになることは予想できた。だが、長瀬はその合間を縫って、大学時代に不本意な形で別れてしまった恋人、怜司とどうしても会っておきたかった。
怜司との別れは、喉に刺さった魚の小骨のように未だに長瀬の心の中にわだかまりとして残っている。思い出すたびに、甘くそして苦い青春の一ページとしてよみがえる。
怜司と出会ったのは、長瀬の行きつけのゲイバーだった。当時、長瀬は特に決まった相手を作る気などなく、ただその日限りの快楽を共に貪る男を物色するだけの自堕落でいい加減な目的でゲイバーに通っていた。そこに怜司が現れた。性別を問わず見るものをはっとさせる美貌。柔らかで優雅な物腰。自分と同じ年だというのに大人びた雰囲気。それら全てにすっかり魅了されてしまった。初めて会ったその日から、周囲のとりまきの妨害をものともせず積極的に話しかけた。
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