あの頃の家

6/6
前へ
/6ページ
次へ
誰かに幸せにしてもらおうなんて、おかしな話だった。もう、誰かが幸せにしてくれることなんてない。 それから僕は来年もサンタの格好をして悠斗に会いに行った。プレゼントを買わなきゃいけない、そう思ってすぐバイトを始めた。そしたら近所の子供が集まってきて、プレゼントをせがまれた。一つしかなかったので、また来年持ってくるね、と言って別れた。そうして来年も、再来年も僕はプレゼントを持って子供達の元を訪れた。そうこうするうちに、もう初めて悠斗にプレゼントをあげたあの日から十年経つ。今ではたくさんの子供にプレゼントを渡すようになって、僕は本物のサンタになった。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加