コンクリートの叫び

ここ道すがら食堂界隈では、大勢の俳優たちが台本の読み合わせをしている。

今日から、原作大山美波(おおやまみなみ)、脚本皇澄美(すめらぎすみ)による、

『孤島サスペンスミステリー・コンクリートの叫び』

がクランクインする。

皇・苦楽・源次郎(すめらぎ・くらく・げんじろう)は怪訝に思っている。

源次郎は世界一の大富豪で多くの企業の会長を営んでいる。

ただ唯一、社長をしている企業がある。

ＳＫアクター部という芸能事務所だ。

ＳＫとはセキュリティーナイト、安心・安全な騎士、

といった意味の頭文字を取ったものだ。

源次郎はこの警備会社を足がかりにして、かなりの多角経営を展開して、

ついには宝島を手に入れたのだ。

そして源次郎自身も駆け出しの俳優だが、

母である世界一の女優、鷹取紗里奈の血を受け継ぎ、

新人らしからぬ演技をする。

名前はまるで時代劇俳優だが見た目はゲルマン人だ。

正式にはゲルマン系アメリカ人。

父親であるショー・ミストガンにより、

生まれてすぐに日本の富山県の福祉施設に捨てられた。

これはミストガン家が行う慣習であり試練で、

１５の年までに多くの資産を獲得した者が、

ミストガン家を継ぐという風習に乗っ取ったものだ。