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そう、真樹には人間や宇宙人の心を読む能力があるのだ。 よって、美波はあえて心の内を読める真樹を犯人にしておけば、 誰にも知られないと思っているはずだ。 よって源次郎は意識的に真樹を見ないようにしている。 その一挙一動から判断して、 真樹が犯人だと知ってしまうことを恐れたのだ。 だが完全に無視することはできないので、 そういった目で見ないことを心掛けている。 源次郎は最大級の喜びを、このドラマ撮影で得たいと思っているのだ。 源次郎は一時間ほど役に没頭して、監督と雛、そして美波から絶賛された。 その演技に美波は涙が零れるほど興奮している。 美波は今日の出番はもう終ったので、 感動と感激、そして多少の寛ぎを感じながら撮影を楽しんでいる。 ストーリーとしては奇抜なものではなく、 財産分与に関わるいざこざが発端で、 殺人事件に発展するオーソドックスなものだ。 当然、恨みの対象は源次郎が演じる木下萬歳(きのしたまんさい)にあるはずだ。 突然の嵐により、コンペイトウは本土と分断されてしまう。 探偵役の美波演じる向井田恋乃子(むかいだこのこ)は、 本土で警察官をしている。 萬歳の三女、樹子の娘で雛が演じる祥子(しょうこ)に誘われ、 島に遊びに来ている第三者だ。     
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