春の中

5/8
前へ
/8ページ
次へ
巻き毛の少女も、キョロキョロと辺りを見回します。 どこかで、パチパチと何かがはぜるような音がするのです。同時に、何かが焦げているようなにおいも漂ってきます。 途切れていた音楽は、またすぐに美しく鳴り始めました。 春の陽光の(もと)、ふわふわとそびえる桜の雲は気だるい空気をまとったまま、世界は()めない夢の中。 「何事ですの?」 その場で顔を見合せる少年少女に代わり、爺やが口を開きます。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加