りら姉ちゃんの来た夏

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 「秋田では、どっか行きたいところある?」  お父さんが、とりなすように言った。  「あー、あたし、五能線に乗ってみたいです。リゾートしらかみ? あの有名なやつ! あと、安藤醸造で醤油ソフト食べたい。あと、土田牧場でジンギスカンも食べたくて」  りら姉ちゃんは、はしゃいで一気に言った。  「よく知ってるなあ。お父さんに聞いたのか?」  「はい!それと、ネットでいろいろ調べて。秋田の絶景スポットとか、グルメとか」  東京のひとでも、田舎の有名なものに興味があるんだなあ。わたしはなんだか不思議な気持ちがした。  「全部、方向ばらばらねえ」  お母さんはちょっと困り顔だったけれど、  「よし! せっかく来たんだから行けるだけ行こう」  お父さんははりきって言った。  「きゃー! 叔父さん、大好き」  りら姉ちゃんはお父さんに抱きついた。  気のせいかもしれないけど、そのときまた、なんだかおかしな雰囲気になった。
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