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その夜遅く帰ってきたお母さんが、お父さんとどんな話をしたのかわからない。
翌朝起きると、りら姉ちゃんの姿は部屋になかった。
あの大きなトランクごと消えていた。
勉強机の上に、破ったメモ用紙がのっていた。
「蕗ちゃん
おはよう。
わけあって、早く帰ることになりました。
夏休み、一緒に過ごしてくれてありがとう。
楽しかったね!
もしよかったら、10年後に手紙をください。
元気でね。
りら」
ボールペンで走り書きされたメッセージを、わたしは何度も何度も読み返した。
早起きが苦手なのに誰よりも早く起きて、誰の見送りも受けずにひとりで家を出たりら姉ちゃんを思うと、わたしは涙が出てきた。
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