りら姉ちゃんの来た夏

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 次の日とその次の日は、りら姉ちゃんのリクエストにこたえてみんなで出かけた。  りら姉ちゃんは助手席に乗りこみ、お父さんの流す音楽に合わせて上機嫌に歌っていた。  久しぶりの牧場で、わたしは牛や羊に興奮した。1年生の写生大会のとき、牛小屋でひたすら牛を描かされたけれど、あのときの牛と違って牧場の動物たちはとてものびのびしているように見えた。  けれど、りら姉ちゃんは  「おお~、ワイルド! でもくさいね」 と、やたら「くさい」を連発し、写真を撮るだけ撮った後はすぐにレストランに入ってしまった。  でも、ジンギスカンをひたすら食べてまた元気になり、ヨーグルトやチーズケーキやら、お土産をいろいろ買いこんでいた。  角館方面へ車を走らせて、醤油屋さんの醤油ソフトクリームを食べにも行った。  ここは何度か家族で来たことがあったけれど、東京のひとが知っているくらい有名だなんて知らなかった。  「蕗ちゃーん、撮って撮って~」  ソフトクリーム片手にピースするりら姉ちゃんを、わたしは手渡された携帯電話のカメラに収めてあげた。  「ありがとー! んー、めっちゃうまいっ。あ、食べてるとこも撮って~。横顔も」  りら姉ちゃんを撮ってあげている間に、お母さんが持っていてくれたわたしのソフトクリームが少し溶けてしまった。  けれど、はしゃいでいるりら姉ちゃんの笑顔はとっても魅力的で、こんなかわいい大人になりたいな。と、わたしはうっとりため息をついた。  特に、つやつやと赤く光る唇とカラフルな爪はわたしのあこがれになった。
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