第1章

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業種分けした各部屋には、ひとつのテーブルと、やはり四人が入って丁度良いぐらいのスペースしかないが、前回訪れたVCXのようにアメ玉をしゃぶりながら仕事をする者も居ないし、社員の仕事に対する姿勢にも活気がみなぎっている。どちらかと言うと、日本のワークスタイルに近いものがある。 と、言っても、けしてVCXが劣ってると言う訳ではない。社風が違っているだけなのだ。 肝心の倉庫の中には、社員以外の者立ち入り禁止となっていて、なんとか交渉を試みたが、結局、例外は認められなかった。 廊下の両壁には、ショーケースが設けてあり、キャビタル社オリジナル作品のパッケージが展示されている。キャビタル社の作品はポルノだけではなく、史劇や童話を題材にした作品もあり、その他にも自然の風景を描いた物や、BGM的な効果に用いる作品など、多種多様のジャンルが製作されているのが伺える。うまい具合に、このパッケージをレイアウトしている時にぶつかり、インタビューなにと言う条件で、企画室のような所へ入る許可が出た。 ここも例外なく狭い部屋だが、それでもちょっとした会議ぐらいなら出来そうなスペースで、三人のデザイナーが、パッケージのスチール写真をテーブルいっぱいに広げ、最終選考を行っている。何とか会議内容を探ろうと試みたが、余りにも専門用語を使うもんで、おれの語学力では理解出来ず、終止サムの通訳を必要とした。
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