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『いゃあ、楽しみですね。実を言うとぼくも車には目がない方で、この話はぼくからもお願いしたかったんですよ。こっちじゃ走ってる車は実に日本車が多いんですけど、日本車の情報誌は輸入に頼っていてすくないんですよね』
と、サムは言ってうなずいた。おれにと言うよりも、自分に言って聞かせるような調子だった。おれにとっては、やや調子外れな話だったので、少し真剣には聞いていなかったが、それよりも、ここ数日の間、経費節約の為ハンバーガーで我慢してた腹に、シーフード料理をパクつく方に心は引き付けられていたが、ゴードンはおれに何かを話そうとして、テーブルを指でコツコツと叩くので、視線をゴードンに合わせると、『サムから聞いた話だと、ポルノ関係の記事を探してるんだってねぇ。ロニー・サンダースを知ってるかい』
『ロニー・サンダースと言うと、あの女優のロニーかい?』
ポルノ映画でも名をはせた中堅女優である。
『ああ、そのロニーだけど、友達の紹介でコンタクトを取る事が出来るよ』
おれは、たった今ゴードンが話した事が、兎に角ロスへ来た漠然とした目的を、絞り混む可能性があると予感するのに、たいして時間は掛からなかった。
『その話、もう少し詳しく話してくれないか』
『以前に彼女の記事を担当したライター仲間がいて、そいつの話によると、直接ビジネスの話を自分から依頼出来るように交渉したらしいんだ。そうしたら、OKが出たと言うんだよね。ぼくは会った事がないから、詳しい話は分からないが、ライター仲間に連絡を取って、話を通してみよいか?』
『そいつは是非と言いたい所だが、ギャランティーはいったいどのくらい必要なんだ』
『それも詳しい事はわからないけど、相場で言うと、、まあ、300ドルはかかると思うよ』
ゴードンは、頭のなかで計算しながら言うと、おれを伺った。
今で言う300ドルは約3万円だが、当日1ドル360円の時代だから、だいたい十万ちゅいかかる計算だった。
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