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航平のマンションの前まで行き、那智が鍵を開けると、ムワッと甘い匂いがしてきた。
「くっさ!」
「匂いが凄いですねぇ」
「前までこんな匂いなかったのに……」
「こっちだ……」
みんな鼻を抑えながら、いつも使っているという部屋に行くと、テーブルの上に陶器でできた術用の道具が置いてあり、その周りには本が散乱している。
いくつか結月が見ていくものの、それ程変わった本では無いという。
「ほかの部屋も見ていいか?」
「そうしてくれ」
「窓開けちゃダメ?」
「来たことがバレますからねぇ。やめておきましょうか」
何が変わったところはないかと言われ、部屋を見て回るが、置いてあるものはいつもと変わらない。
「あ、あれなんだろ?」
リビングのテレビ台。
しかも、ちょっと分かりにくい所に一つ小さな袋が落ちていた。
匂いを嗅いだ結月が、「匂いの原因はこれだな。他にもあるはずだ」
そう言うので、ベッドの下や棚の裏まで丁寧に見ていくと、全部で七つ見つかった。
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