レポーターのマリア

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レポーターのマリア

タレント養成校での生活は慌ただしく過ぎていく。ボイストレーニングやダンスの練習などテレビでは必要な訓練を受けた。バレエを習っていたので、ダンスは楽々クリアできる。スチュワーデス経験があるためアナウンスも楽々である。 一定期間習った後、CMに出場する。習いながらお金を稼ぐことができる所は他にない。美貌を生かして化粧品メーカーの宣伝に出た。少しずつ頭角を現わすマリアは、養成校を卒業すると語学力や旅行業務経験を生かして紀行番組にレギュラー出演することになった。 海外経験があるとはいえ、テレビでは新人である。まずは国内から実績を積むことにした。国内旅行のガイドさん役で他のタレントと共に国内の名所や温泉などを現地では最高の交通機関を使った旅行番組に出演する。 宣伝も合わせてレギュラー出演で知名度を上げていくマリアは、語学番組やラジオ番組にも出演する。 3年は瞬く間に過ぎていく。次にはオリンピックやパラリンピック、ワールドカップなどスポーツの祭典にも駆り出された。選手へのインタビューや通訳など悠々とした観戦どころではないスケジュールの中、スタジオとスタジアムの間を縫うように駆け抜けた。 5年になると国内旅行は新人さんに明け渡し、海外旅行番組に出演し始めた。現地へ出かけて地元の人にインタビューしたり名所を国内の視聴者に説明する役だ。飛行機の中だけだった業務よりもずっと大変だが、そこはいつものバイタリティでこなした。 出張先は中世の佇まいを残す街とは限らない。悪路や密林、サバンナ、砂漠、汚染地域、地雷原など決して体に良くない所へも行く。マリアはそれを撮影するとコメントを付けて自分のアカウントで投稿する。マリアのフォルダには観光客が訪れる名所に混じって野生動物や荒地、紛争地の写真が溜まっていった。 ある時、マリアはソーシャルネットワークを開いた。自分の同級生が子育てしてることに気がついた。そういえば、肌の潤いが減ってるような気がする。マリアは35歳になろうとしていた。このままおひとりさまでいるのか結婚するのかマリアは人生の分岐点にさしかかろうとしていた。
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