家庭

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家庭

ある日、マリアは合コンに参加した。その中で意気投合した相手がマリアに近づいてきて、互いにメアド交換をした。それからスケジュールの合間を縫ってデートするようになった。3ヶ月すると、週刊誌の記事にされるようになった。マンションの周辺にはパパラッチが一般市民に紛れて張り込んでいる。 突然マイクを突き付けられて、パパラッチに対して知らんの一点張りを通した。相手もやはり適当にはぐらかす。しかし、ワイドショーに取り上げられて如何にもこうにもならなくなった。あまりにもうるさいので、記者会見では破局したことにして、裏ではメールのやり取りをした。 そして互いの両親の所へ行って顔合わせすることにした。両親の後押しもあり、二人は結婚へ準備を進めていた。そして、結婚式の日取りが決まった。そして招待客を呼んで結婚式を挙げた。マスコミがそれを報道した。この結婚報道は一週間ほど続いた。その間に新婚旅行へ行って、帰国すると新居へ戻った。マリアはこれを機にカメラの前から姿を消した。 それから一年後に長男が生まれた。夫もドイツ人の母を持つハーフだから、その子はクォーターということになる。ブロンドに近い茶髪で眼の色はグレーと緑が混じっている。鼻も欧米人に典型的な形をしている。 マリアはSNSでアクセス数を稼ぎながら育児に追われた。二年後に次男を出産した。長男とそう変わらない身体的特徴を備えた赤ん坊の世話が更に加わった。次男も加えた記事で収入を増やすマリアは、ほとんど家から出ることはなくなった。通販で買うのでわざわざ買い物に行く必要がない。 一方夫は、仕事に追われていた。直に会うよりもネットで連絡を取る事で家族の連携を深めた。長男が中学生になり、次男にも反抗期が来ると、マリアは仕事を再開した。 ママタレとして出演するマリアは、すぐに帰宅できるように海外出張が多い番組は若い者に任せて、自分はバラエティー番組やクイズ番組のひな壇に座った。外国語大学を卒業してるマリアは、高学歴組として出演する。 本人の前では生意気な事を言う息子たちは、マリアが出演する番組を録画する。なんだかんだ言っている息子たちは、働く母の姿を見て、エリート校進学のために学校と塾に通う日々を過ごすのである。
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