白い父と黄色い母

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ここは北の大地である。国としてはモンゴロイド人種が国の中枢を担う島で成り立つ。実際には、土地によっては様々な人種がコロニーを作っている。 その中で碧眼金髪の人種が多く住む街がある。この街では、彼らの言語で表記された看板があちこちにある。それどころか、語学教室や友好団体まである。そういう町内で生まれた子は純血種や混血種と様々である。 そんなある日、誰が見てもモンゴロイドの女性が産院で女児を出産した。その子は純血種ではない。どこか西洋人の特徴を持つ。彼女の夫は白人である。その子を見ると父親の身体的特徴がどんなものか想像がつく。ただ、この街ではこういう子がよく生まれるので全然珍しくはない。 出産した母は病室へ、赤ちゃんは新生児室へ移された。母は時々授乳室へ行って我が子に乳を与える。父親は役所へ出生届を提出した。女の子の名前はマリアと名付けられた。それを選んだ理由は、両国で通用するからである。夫が運転する車に乗って母子が退院するとマリアはベビーベッドの中に入れられた。     
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