勇気の鈴~愛

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乾パンマン 「海風が心地良いや… やっと乾いたかな」 「兄さん…怒ってたなぁ…」 「さてと…これからどうするかな」 「他の街へ行くかなぁ、この街に居たら兄さんに迷惑がかかるだろうし…」 「ヒーローに腹違いの弟なんてマイナス要素でしかないもんなぁ」 「僕はだあれの役にも立たないし、食べたら硬いし…」 「兄さんにもそばに居る価値無いって言われちゃうし、情けなくて泣けてくるよ……」 『お腹空いて歩けません どうか貴方の顔を一片食べさせてくれませんか?』 乾パンマン 「え?」 ウサコ 「レディに辱しめを? 二度も言わせないで」 乾パンマン 「ウサコ…さん?どうしてここが?…兄さんは?…」 ウサコ 「昼間のあの子が教えてくれたの…港へ向かったって」 乾パンマン 「だけど兄さんは…」 ウサコ 「あたしは乾パンが食べたいの、あんな柔らかいパン、趣味じゃないわ」 乾パンマン 「ま…待ってください、今、水かぶってきますから」 ウサコ 「そのままでいいの」 乾パンマン 「え…」 ボオオオオ 遠くの汽笛が微かに聞こえてくる 乾パンマン 「……………………」 ウサコ 「そのままの…君がいい…」 乾パンマン 「……誰かに…抱きしめられたの…初めてです… いけません、ウサコさん こんなところ記者に撮られたら…」 ウサコ 「構わないわ」 乾パンマン 「私をかじったら歯が折れちゃいますよ…?」 ウサコ 「平気。あたし前歯だけは頑丈なんだから」 乾パンマン 「誰にも必要とされない男ですよ…?」 ウサコ 「あたしが必要としてるの」 乾パンマン? 「ウサコさんにはもっと相応しいヒーローが…」 ウサコ 「あなたは充分ヒーローじゃない、身寄りの無い子にびしょびしょになってまで食べ物を与えたり… もういいの、もういいから何も言わずギュッと抱きしめて乾パンマンさん…」 乾パンマン 「ウサコさん…」 ウサコ 「あなたの孤独までも食べさせて」 カリッ? 硬っ 勇気の鈴~愛END
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