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気が付くと窯の天井を見つめていた
ここに閉じ込められ床下には燃え盛る炎
灼熱の床、決して広いとは言えないレンガ造りの壁と天井の密室
身動きはとれない
もう何時間、炎による熱気に包まれただろう
私の顔はいつしか熱傷によりパンパンに腫れあがり、部分的には炭化してしまった部位さえある
まだ意識を保っている
外から私にこの様な仕打ちを強いた者たちの談笑が漏れてくる
うっすらと覚えているが彼らは笑いながら私をここへ閉じ込め火を入れた
正に悪魔の所業
遂に外への扉が開く
こぼれる光
私はまだ生きているぞ
彼らの第一声は何だろう
男
「葉田子嬢、焼けましたよ」
女
「邪夢伯父様、本当…今回の比率はどうかしら」
男
「うむ、ナノマシン【an】の比重を限界まで増加させた。内部余剰領域は8%以下だ。」
女
「例えるなら空洞が殆ど存在しないアンパンといったところかしら…ふふ」
男
「うむ、外皮への【an】漏洩も確認できない…成功だ」
女
「これなら…これならついに……ヤツを…」
男
「気が付ついたようだ」
歓喜と好奇に溢れた表情で覗きこむ2人に問う
「私は何だ」
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