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俺は賭け事と酒とナギとのセックスに溺れた。
ナギはただただ、よりスリルのあるギャンブルにのめりこんでいった。
少しだけ変化があったのは、ナギが俺と共に外出する機会が増えたということである。大抵ドライブで、俺が車を運転していた。
「道路の方が賭けの対象を見つけやすいんですよ」
などとそっぽを向いて言うナギの仕草はどことなく微笑ましい。
今日は海の方へ車を走らせて入水自殺の名所に一日はっていたが、事件はひとつも起きなかった。俺たちは暇つぶしにまばらな海水浴客のカップルがキスするかしないかというような生温い賭けに興じて、適当に時間を過ごした。
俺にとってはナギとのそんな時間の過ごし方も、案外悪いものではなかった。ナギも、まんざらでもなさそうな顔をしていた。すっかり日が暮れたころ、俺たちは帰路につくことにした。
人気のない入り組んだカーブが続く道を走る。ふとナギがシートベルトをしめたまま、俺のまたぐらに手を伸ばした。
「おい、何してんだよお前」
「たまにはこういうのも、いいじゃないですか」
「お前、そんなキャラじゃねぇだろ」
俺の言葉を無視して、ナギがズボンのファスナーを下ろした。「ああもう、邪魔だなぁ」そう言って俺のシートベルトを勝手に外すと、手を奥へと潜らせていく。
「おいおい、サツがいたらどうすんだよ」
「行きも全然車の通りなんかなかったじゃないですか、大丈夫ですよ」
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