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昔は宿屋として使われていたこの建物は広さや開放感を演出する為に天井が少し高く造られている。リアはカウンターキッチンに置かれている椅子を引っ張ってきて上に乗り、電球を交換しようと背伸びして手を伸ばす。………が、あと少しの所で届かない。
見兼ねたフレイがキッチンまでやって来る。
「いつもどうやって替えてるの?」
「屋根裏から脚立を持ってきて替えてる。」
「なるほど、横着しちゃった訳だ。危ないから退いて?」
「だ、大丈夫だ!」
「いいからいいから。高所の作業は任せてよ。」
フレイにヒョイと身体を持ち上げられ強制的に椅子から降ろされるリア。
身体の大きなフレイが椅子に乗ると簡単に手が届き、難無く電球の交換は終わった。
「……あ、ありがと。」
「いつでも。」
爽やかに笑うフレイとは対照的に、礼を言うリアの顔は少し浮かないものだった。
その後掃除が終わり、洗濯物を取り込み、夕飯の支度をしていたリアは人知れずとある物と格闘していた。それは調味料が入ったビンの蓋。女性にしては力の強いリアはいつもなら簡単に開けてしまうのだが、このビンは強敵で、鍋の火を止めてまで格闘を続けていた。
そこへ音痴な口笛を拭きながら階段を下りてきたのはライ。彼は冷蔵庫から炭酸飲料の入ったペットボトルを取り出しキャップに手を掛けた時、ふと視界の端のリアを捉える。
「何してんの?」
「ふんッ!……っはぁ、ダメだ。この蓋が全然開かなくてな。」
「へー。」
力を込めていた右手をぷらぷらさせ、諦めの表情を浮かべているリアの左手からライはビンを奪い取る。
「ほッ!……うわぁ、固ぇなぁ。」
「そうだろ?全然開かな────開いてる……。」
諦めかと思われた台詞と共にライから手渡されたビンの蓋は開いており、そのまま彼は炭酸飲料を持って2階へ上がっていく。
蓋の開いたビンを見つめるリアの唇は少し不満げに尖っていた。
夕食を食べ終え、リアはアイリーン、ティアンナ、そして遊びに来ていたシュヴァリエと共に1日の疲れを癒すべく入浴していた。一人一人入浴していては後がつかえてしまう為、この家では複数人で入浴する事が多い。
リアは湯船に浸かり、気持ち良さから眼を閉じて天井を仰いでいると、突然ティアンナに胸を揉まれる。
「な、なんだ!?」
「大きい上にモチモチで柔らかいとかズルくなーい!?」
「はい!?」
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