第1話

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第1話

『パリーン』 ああ、またミスってしまった...心の中でそう思ったのも無理はない。 俺の名前は佐藤翔貴(さとうしょうき)。不器用で何も出来ない者だ。それにしても今週は何時も以上にツイて無い。 さっき割ってしまったコップを片付ける。今週だけで3個も割ってしまった。3個だよ。普通なら即首が飛んでる頃だが、有り難い事にこの店ではその心配は無い。 「また割ったのか(笑)」 「沢木さんスミマセン...」 「おいおい。ここでは『マスター』でしょ(笑)」 コップを割った僕を見てニヤついているこの人が、ここ『喫茶KTH』のマスター「沢木伸一」(さわきしんいち)。喫茶店を営む傍ら、自動車の整備工場も経営している。 店名の『KTH』とはマスターが今まで乗り継いで来たクルマ達の車両型式... 「KDR30」:6代目スカイラインRSの2ドアモデル 「TE27」:初代カローラレビン/スプリンタートレノ(マスターはトレノ) 「HGC211」:5代目スカイラインGT系統の2ドアモデル の型式の初めの文字を取っただけの店名である。     
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