第3話

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このトレノのナンバーは「静岡55ま56ー68」、翔貴が現在住んでいるのは京都の精華町。登録地が違うという人もいるかも知れない。このナンバーのままなのは訳がある... 翔貴は高校生活3年間を静岡で過ごした。理由は親の転勤である。その際、免許を取得した。翔貴の父方の祖父母の実家が静岡にあるので、祖父母宅で過ごしていた。 高校2年の大晦日の大掃除。翔貴はガレージの片付けを命じられ、ガレージの品物を整理していた時の事。カバーに被せられた大きな物を見つけた。 「何だろこれ?」 埃が被っているカバーを払うとモスグリーンのクルマが出てきた。翔貴の幼い頃に何度か見掛けたクルマだ。いや、何度かと言うよりも、家のクルマだったと言った方が正しい。 しかし、このクルマは数年前に父親が手放した筈...何故ここにあるのかと困惑していると祖父がやって来た。 「懐かしいだろ?最近は全然乗ってないみたいだかな。」 と祖父はキーを取り出し、運転席に座った。『このクルマはキーを捻っただけじゃエンジンが掛からないんだ』とよく言ってた事を思い出した。 祖父は掛け方を理解していたらしく、エンジンはアッサリと始動した。 「ちょっと走りに行こうか。」 祖父の隣に座るとクルマは走り始めた。祖父母宅周辺は山が多く、峠も多い。峠を上りつつ祖父は話す。
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