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プロローグ
僕が生まれる前から、この国は戦争をしていた。
テレビもネットも毎日ニュースになるのは戦争の話題。
「我々日本の優秀な兵士たちが、敵に鉄槌を下しました! もはや勝利も目前です! たたえましょう、日本を! 日本の優秀な兵士たちを! たたえよ! たたえよ! たたえよ! 次はチョコレートの減産についてのニュースを……」
ビルに投影されたプロジェクションマッピングに映し出されたニュースアンカーが語気を鋭くする。
勝利も目前。
僕がほんの小さなころから、同じ事をずっと聞かされている。
たぶん来年も、再来年も言っているのだろう。
いつしか僕たちは将来兵士になることに疑問を抱かないようになっていた。
ただ……、誰と戦っているのか?
それを誰も知らないのだけは不安だった。
どんなに書籍を調べようとも、教科書を読もうとも、自分たちが誰と戦っているのかだけはわからなかった。
愚かだ。目的を知らないなんて。
でもどんなに愚かであろうとも、僕たちはその時代を必死に生きていた。
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