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もちろん恋愛結婚も認められている。
それでも、それでも僕たちは少しだけ恋愛というものに憧れを抱いている。きっと楽しいに違いない。
「蓮! 遊びに行こうぜ!」
僕たちが話していると、派手なメイクをした制服姿の女子、井上が男子サッカー部の円上蓮に抱きついた。
「おう、どこ行く?」
「どこでもいいよ。蓮がいるなら♪」
砂を噛んだような、嫉妬とも恨みとも、屈辱とも判断できない複雑な感情がこみ上げた。
恋愛とは同じクラスの円上蓮のような物語の主人公に与えられた特権だと僕たちは知っていた。
僕たちは、脇役も脇役。円上蓮の物語の一部、付属品でしかないのだ。
だけどそれを認めたら、僕たちは本当の意味で負け犬になってしまうのだろう。
だから僕たちは、僕たちができる遊びをすることにした。
まずは円上が見えないところまで早足で歩く。
階段を上がり電算室の中に入る。
僕たちは無言だった。これが屈辱と嫉妬というものなのだろう。
実習室には実習用のワークステーションに交じって何台もの戦術シミュレータの筐体が置いてあった。
【内務省公認 戦闘シミュレータ 甲種】だけだ。
通称は【電算室のロボ】さらに略すと【ロボ】。
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