第2章 異世界デビュー☆若返った俺

3/18

269人が本棚に入れています
本棚に追加
/137ページ
「勇者?知らんな。私ではない」 「わっ、てめぇ!」  のんびり分析している間に、エリート野郎が悪そうな性格そのままに、俺の背中を押して逃げ出す。  俺はスタートしそこねて逃げ遅れ、原住民に取り押さえられてしまった。 「違う違うっ!俺は勇者じゃねぇ!」  必死に叫ぶ。原因も理由も分からなかったが、命の危機にあることだけは痛いほど分かった。 『嘘を言えば、丸焼きにするぞっ!』 「ほんとだって!勇者はあいつだっ!勇者っ、早くしないと逃げちまうぞっ」 『じゃあ、お前は誰だ?』 「誰ってーー」 『そいつぁ、奴隷じゃねぇか?』  答えに詰まった俺の代わりに野太い声が響く。  原住民の間から、ひときわ大柄なーー筋肉ムキムキの熊みたいな大男が現れた。  ワカメのようなくねった黒髪、浅黒い裸、頬やさらした腕に刻まれた無数の傷は、それだけでヤバい相手だと説明していた。 『ソイツの足、奴隷の証がついてんだろ?黄色の輪っかはザレーゼ王国の性奴隷の証だ。大方さっきの勇者の慰め者だろうぜ』 ーーなにっ!?性奴隷!?  原住民たちとともに俺も自分の足を見る。素足の足首には黄色の線が入った鉄輪が確かにはまっていた。 『くそっ、勇者はあっちだ!』  一斉に移動していく原住民たち。  わけが分からず佇んでいた俺は、突然腕を引っ張られる。
/137ページ

最初のコメントを投稿しよう!

269人が本棚に入れています
本棚に追加