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「俺の身は俺が守る。奴隷がなんだよ?性奴隷がなんだ?俺は俺だ。余計な心配して俺の〈仲間〉を簡単に傷つけんな!」
俺が本気で怒って言うと、ツジは肩をすくめる。
「仲間ぁ?襲われたのは俺のほうーー・・・」
そう言って、ツジは起き上がるトーマと陽炎少年を順番に見る。
「ーーそういうことかよっ。お前ら異世界でも仲良く一緒にプレイかよ」
「お前ら?」
「当麻とお前!だけどこの世界はリアルと違うぞ」
「当麻?」
ツジの口から出た名前が、現実世界で俺を振った当麻のことを言っているのだと、直感で悟る。
中学時代に当麻と仲良くなるキッカケを作ったのがこの辻だったからだ。辻の口から当麻の名前が出てきてもおかしくはないのだが、だが?
ーーなんで、当麻?俺達が別れたの、知らないはずだよなぁ?
なんといっても十数年ぶりの再会だ。辻は当麻と俺が、最近まで付き合っていたことを知らないはずだ。
ーー異世界トーマと当麻を間違えたのか?
しかしーーツジが見ているのは当麻そっくりの異世界トーマではなく・・・。
ーーなんでコイツ!?
だが問い詰める前に、音もなく辻の背後に濃紺の長髪美形が現れる。
「魔王よ、何を遊んでいる?〈炎溽〉が腹を立てそうだぞ」
「はぁーーうぜぇ奴っ」
美形の呼びかけに驚かされる。
「魔王?!ツジが!?」
俺は叫んでいた。剣を構え直したトーマが息を飲んだ音が聞こえた。
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