第1章 リアルBLな中年の俺

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※※※※ 「アキホ、あんた日曜なのに、なんで家でゴロゴロしてるのよ。暇ならトーマくんと存分にイチャイチャして、姉にエロ話を報告しなさいよ!」 「・・・っ!」  俺はイライラしながら、ソファーの上で身体の向きを変え、うるさい腐れ姉を無視する。 「ねぇ~あんたたち最近どんな体位で燃えたの?教えなさいよ。飯のタネが足りないのっ!インスパイアしなさいよぉ」 「・・・うるせー・・・うっ!」  背中にまたがって乗り上がってきた女は、間違いなく40歳目前の女だ。  10代から男同士のバラ世界に血道を上げ、ツワモノとなって約30年。  一時は、当麻と俺を理解してくれるラッキーな肉親というカテゴリーだったが、俺達をネタにイラストや漫画や小説を作っていたという、恐ろしいジツブツを目にしてからは、関わらないのが1番!と俺は貝になっていた。 ーーフツウ、恥ずかしげもなく太ももさらして、弟に乗っかったうえに、容赦なく胸で押し潰すかっ!? 「そうだ!今からトーマくん呼んで、休日エッチしたら?私は外出したことにして、あんたの部屋の押し入れで、あんたとトーマくんのエッチ顔、こっそり描くことにするから」 「するかっ・・・・・・腐れ女」  トーマトーマと名前を出されて、失恋したての俺は地味に傷つく。 「嫌だって言うの? 父さん母さんが死んでから、誰があんたを育ててこのウチのローン返したか分かってんの!? あんたに拒否権はないんだからっ」 「またそれかよ・・・いい加減にしてくれ」 「なによっ!わっ、アキホ」  俺は無理矢理姉貴を振り落として部屋に戻ることにする。  思春期からの、当麻との思い出が山ほどありすぎる部屋だが、姉貴の猛攻には致し方ない。さっさと逃げるに限る。  だがそれでたやすく諦めてくれる腐れ雌豹ではない。がっしり腕を捕まれて、俺は苛立ちMAXだ。 「ちょっと、アキホっ!」 「トーマとは別れた。二度と会わねぇ!・・・結婚するんだってよっ」  吐き捨てるようにいえば、姉貴の心底驚いた顔が、胸の傷をさらにえぐる。 「え!?ーー・・・あんた」 「そういうわけだから、ほっとけよっ!」  大丈夫なの?と言いたそうな姉貴の顔を見たくなくて、俺は高校生のように、狭い階段を駆け上がって自分の部屋に逃げ込んだ。
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