第1章 リアルBLな中年の俺

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 確かに脱出したーーはず?  姉貴を突き飛ばして部屋から走り出し、階段も一目散に駆け降りた。  靴を履くのもそこそこに、玄関のドアを開けて、確かに外に逃げ出したんだーーが?  見慣れたアスファルトも電柱もマンションもなくーー真っ白な空間が続く。 「・・・どこだ、ここ?」 ーーもしかして、夢なのか?  気がつけば後ろに玄関もなく、360度真っ白なひとりの世界。  姉貴の猛攻は悪夢で、俺は実は傷心のまま、やっぱり居間のソファーで未だにのびているとか。  そう考えた途端、周りから変な合唱の声が聞こえ出した。  男の低い声も女の高い声も綺麗に混じり合った美しい歌声だ。  その歌詞はーーなんだ?言葉の意味がさっぱりわからない。  そのうちに別の変な音が聞こえた。  懐かしい高い電子音ーーそうだ、ゲームなんかで宝物を手に入れたときの音だ。  テレレ~テッテテ~~♪ 『さあ、ゲームの始まりよ!』  突然聞こえたその声は、紛れもなく腐れ姉貴のよそいきの声だ。 『あなたは何を選ぶ?  >黄色 ←を選ぶ  >赤色  >青色  >紫色  >白色  >黒色                 はい・いいえ 』  唐突に、白い空間に壁のような巨大スクリーンが現れる。  そこに浮かび上がる文字はまるで昔懐かしのゲームの選択画面だ。 「・・・選ぶ・・・色か?」  腕を組んで画面を見つめていると、聞こえていた合唱がせかすような早いテンポのものに変わる。
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