269人が本棚に入れています
本棚に追加
確かに脱出したーーはず?
姉貴を突き飛ばして部屋から走り出し、階段も一目散に駆け降りた。
靴を履くのもそこそこに、玄関のドアを開けて、確かに外に逃げ出したんだーーが?
見慣れたアスファルトも電柱もマンションもなくーー真っ白な空間が続く。
「・・・どこだ、ここ?」
ーーもしかして、夢なのか?
気がつけば後ろに玄関もなく、360度真っ白なひとりの世界。
姉貴の猛攻は悪夢で、俺は実は傷心のまま、やっぱり居間のソファーで未だにのびているとか。
そう考えた途端、周りから変な合唱の声が聞こえ出した。
男の低い声も女の高い声も綺麗に混じり合った美しい歌声だ。
その歌詞はーーなんだ?言葉の意味がさっぱりわからない。
そのうちに別の変な音が聞こえた。
懐かしい高い電子音ーーそうだ、ゲームなんかで宝物を手に入れたときの音だ。
テレレ~テッテテ~~♪
『さあ、ゲームの始まりよ!』
突然聞こえたその声は、紛れもなく腐れ姉貴のよそいきの声だ。
『あなたは何を選ぶ?
>黄色 ←を選ぶ
>赤色
>青色
>紫色
>白色
>黒色
はい・いいえ 』
唐突に、白い空間に壁のような巨大スクリーンが現れる。
そこに浮かび上がる文字はまるで昔懐かしのゲームの選択画面だ。
「・・・選ぶ・・・色か?」
腕を組んで画面を見つめていると、聞こえていた合唱がせかすような早いテンポのものに変わる。
最初のコメントを投稿しよう!